診療のご案内
便秘症とは
便秘とは便が出にくい状態をいいます。旅行・イベントで排便リズムが崩れたり、胃腸炎の後で一時的に便秘状態になる経験は往々にしてあると思います。整腸剤の内服等で症状が改善するようであれば問題ありません。
しかし、長期に渡って便秘の状態が続くのは良くありません。週に2回以下の排便を便秘症と呼ぶことが多いですが、たとえ毎日便が出ていても硬い便で十分な量が出ていなければ便秘症といえます。
そのほかに排便時にお尻が切れて血が出たり、痛くて泣きながら排便していたり、お腹が痛い・お腹が気持ち悪い等も便秘の症状です。便秘の状態が続くと食欲が減ったり、嘔吐したり、口臭がしたりすることもあります。
おむつの外れたお子さんがパンツに便を漏らしてしまうのも便秘が原因の可能性があります。
便秘症の多い時期
便秘を発症しやすい時期は3つあるといわれています。
- 離乳食が始まった時
- トイレットトレーニングの開始時期
- 学校に通い始めた時期
便秘の治療
便秘の改善には「早寝・早起き」、「日中しっかり体を動かす」、「好き嫌いなくしっかり食べる」が大切です。
軽症な便秘であれば生活リズムを整えることで改善することもありますが、それだけではなかなか良くならないことも多いです。そのため、便秘の治療薬を適切に使用することが重要です。腸の中に硬い便がたくさん溜まった状態で便秘薬を内服しても腹痛がひどくなったり、硬い便の隙間から軟らかくなった便が漏れるだけでスムーズに便が出ないことが多いです。そんな時にはまず直腸(肛門のすぐ上の腸)に溜まっている便を浣腸などを使って一旦しっかりと出し切る(便塞栓除去といいます)ことが必要な場合もあります。
便塞栓除去を行った後は、便を軟らかくする薬を飲むことで便が軟らかい状態を維持します(維持療法)。
軟らかい便が直腸に入ってくるとその情報が脳に伝わり、脳から便を出すように指令が出ます。その指令によって腸が動き、便が出ます。
薬を使ってスムーズな排便習慣をつけながら生活リズムを整えることで、最終的には薬を使わずともスムーズな排便ができるようになります。スムーズな排便習慣を手に入れるためには数か月から数年かかることもあります。しかし、幼い頃にスムーズな排便習慣をつけておくことで将来的に便秘で悩む頻度は低くなるといわれています。